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労政新聞1995年05月01日『プロの育成へ動機付け研修』

キリンビール(株)(東京・渋谷区)では、女性社員のプロ化をめざして「女性キャリア開発担当」が活躍している。女性労働の実態を分析して問題点を抽出、その解決策の一つとして実施しているのが「キリンステップアップ研修」。全員のレベルアップを図るというよりもリーダー格の育成にポイントを据えており、学歴、年齢、職種、未・既婚を問わず全国の女性社員に門出を開放しているのが特徴といえよう。

全社員に門戸を開放 プロジェクトチームが活躍

同社が人事の下に「女性キャリア開発担当」を設置したのは平成4年11月。男性1人、女性5人から成るプロジェクトチームといってよい。そのリーダーである人事部事業所支援担当・部長補佐の西村慶介さんはその目的を、「プロの女性社員を育てること」といい切る。同プロジェクトは結成早々に8項目にわたり女性の現状を分析、女性と男性の視点を検証して問題点を抽出するという作業を行っている。

8つの問題点の解決策として次の5点を挙げた。(1)家庭生活との両立が図れるような支援制度の整備、(2)キャリアに合わせてレベルアップできるような職域拡大、(3)プロの仕事としての意識改革、(4)ライフプラン支援プログラムの企画・実施(5)研修の企画・実施……である。「キリンステップアップ研修」は、この中の(5)の領域に含まれる施策といえる。この種の研修を全社レベルで実施するのは初の試みだった。

難しい全員の底上げ

この研修は、マナーや業務知識などの専門教育や技術研修とは全く異質である。仕事に対する意識を改革し動機づけを図るのが目的だから、受講対象は学歴、年齢、外勤・内勤、未・既婚を問わず全女性社員に。とはいっても、全員に受講させるのではなく、意欲のある者に限定している。

「やる気の乏しい者を含め全員の底上げを図るのは難しい。今は積極的な社員を対象にリーダー格の女性を育てることを優先させている」と西村さん。もちろん、既に女性の管理職はいるが、この研修で他の女性から目標になるような先輩をつくるのが当面の狙いである。

キリンステップ研修は自主参加方式である。受講希望者が ”手をあげる” もので、平成5年に1回、平成6年に3回開いている。定員は1回につき15人~20人、最近は応募者数が定員枠を上回るケースが多いそうだ。そんな場合は人事部や上司が選抜することになるが、その基準はあくまで本人の意欲や積極性である。

別掲2がステップアップ研修のカリキュラム。(株)近藤教育企画のオリジナルをキリンビールの教育方針などに合わせて若干手を加えている。オリジナルでは2泊3日の日程だが、「3日間職場を離れるのは少々厳しく参加しにくくなる」ということで、1泊2日用にアレンジしている。その分、日程もきつくなっているようだ。

この研修を実施するに先立って、人事部では参加者に「事前準備」の4つの質問に答えるよう求めている。(1)女性が長く働き続けるために必要なこと、(2)仕事をしていて楽しいと感じる時、マンネリを感じる時…など。その回答は研修の中の「実習」で、折りにふれて自分自身を判断したり発見したり際の材料として活用される。

女性も仕事に自覚を

研修の手法は講義と実習(グループワークや個人作業)が中心で、ゲーム的な作業をふんだんに採り入れている。女性の働き方やいい仕事を続けるための要諦などを伝授し動機づけを行うが、かつて大手損保会社に籍を置いていた近藤成子講師のキャラクターの影響もあってなごやかな授業になっているとか。

また、積極的な者、優秀な社員の集まりだけに、囲りの参加者から啓発される女子社員も少なくないようだ。現実問題として、バリバリやっているママさん社員を目の当たりにして、”自分も” と思う女性が出てきても不思議ではない。参加者にも非常に評判のいい研修だが、「職場に帰れば様々なカベがある。そのために研修で身に付けたことが即職場で生かせるとは限らない。そういう意味でこの研修は100点満点ではない」と西村さん。それでもやる気のある社員にはできる限りの支援をしていく。「その前提としては女性自身もプロとしての自覚を持つことが欠かせないだろう」と結んだ。

(出典:『労政新聞』1995年05月01日)

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