1982年ごろ、社員教育雑誌で見つけた「人を育てる」シリーズの中にあったコラムのタイトルです。 アメリカのあるデパートの社長さんから伺った話として、東海大学の清水滋教授が紹介されていたのですが、職場の教育環境の重要性と上司の指導センスを示唆していると思います。概要は次のようなことです。
同じ大学を出て同期入社でもあるA子とB子は、隣り合わせの売場に配属されました。3年後、A子さんは人事部長に呼ばれ売場マネージャーの昇格を言われました。3年間よく励んで業績に貢献した、勤め果たした、という評価です。 しかしB子さんは呼ばれません。
そこで人事部長を訪ね、「私も3年間勤めましたが、」とアピールしました。人事部長は、やや困った顔つきで、でもはっきり答えたそうです。「気の毒だが、あなたはマネージャー昇格から洩れました。B子さん、あなたは1年間を3回勤めただけなので…。」
B子さんの3年間を図にするとこうなるかと思います。
では、A子さんはどのような図になるのでしょうか。
清水教授は、「『人を育てる』ということは、気の進まない相手にむりやり栄養物を食べさせることではない。栄養をとって自ら成長していこう、とする気概をいだかせることからそれはスタートする。形式に流れた教育システムが、よく見落とす点である。 A子は上長に恵まれ、その気概を持ち得た。B子は不幸であった。」と結んでおられます。
つまりこの面積の差は、A子さんとB子さんのやる気や能力の差と言うより、むしろ彼女たちを育てている職場の教育システムや指導者の差、さらにはOJT教育の責任者である上司の管理能力の差、と考えても良いのではないでしょうか。A子さんは3年間で人材になりましたが、B子さんはまだ人なのです。 「人を人材にすることが教育の原点」を心したいものです。
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