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当社のモットー

1人の100歩より100人の1歩

随分前のことですが、NHK朝の連続ドラマで、女優若村麻由美さん扮する新米教師に、校長先生(中村賀津男さん)が学級経営について諭した台詞にこのような一説がありました。クラス全員の可能性を担任が信じて指導し100人の結果を出す事が、教育の原点ということでしょう。

それにしても1人の100歩は、目立ち過ぎます。羨望の的になりそのストレスで潰れる可能性が心配されますね。大人になれば、個人差が著しく踏み出す位置は100人それぞれでしょうが、それでも全員の堅実な一歩が、ひいては職場づくり、職場の活性化につながることでしょう。

これは集合教育の現場でも同様ですので、こころして講師を務めています。

3×1か1×3か

1982年ごろ、社員教育雑誌で見つけた「人を育てる」シリーズの中にあったコラムのタイトルです。 アメリカのあるデパートの社長さんから伺った話として、東海大学の清水滋教授が紹介されていたのですが、職場の教育環境の重要性と上司の指導センスを示唆していると思います。概要は次のようなことです。

同じ大学を出て同期入社でもあるA子とB子は、隣り合わせの売場に配属されました。3年後、A子さんは人事部長に呼ばれ売場マネージャーの昇格を言われました。3年間よく励んで業績に貢献した、勤め果たした、という評価です。 しかしB子さんは呼ばれません。

そこで人事部長を訪ね、「私も3年間勤めましたが、」とアピールしました。人事部長は、やや困った顔つきで、でもはっきり答えたそうです。「気の毒だが、あなたはマネージャー昇格から洩れました。B子さん、あなたは1年間を3回勤めただけなので…。」

B子さんの3年間を図にするとこうなるかと思います。

1-3

では、A子さんはどのような図になるのでしょうか。

3-1

清水教授は、「『人を育てる』ということは、気の進まない相手にむりやり栄養物を食べさせることではない。栄養をとって自ら成長していこう、とする気概をいだかせることからそれはスタートする。形式に流れた教育システムが、よく見落とす点である。 A子は上長に恵まれ、その気概を持ち得た。B子は不幸であった。」と結んでおられます。

つまりこの面積の差は、A子さんとB子さんのやる気や能力の差と言うより、むしろ彼女たちを育てている職場の教育システムや指導者の差、さらにはOJT教育の責任者である上司の管理能力の差、と考えても良いのではないでしょうか。A子さんは3年間で人材になりましたが、B子さんはまだ人なのです。 「人を人材にすることが教育の原点」を心したいものです。

カニの親子

kani

─ おとうさん、おとうさんが、まっすぐに歩いてみせてくだされば、ぼくたちもそうします ─

『かにの本・子どもを悪くする手引き』 ザルツマン著 村井実訳

これは、今から200年ほど前の1780年、クリスチャン・ゴットヒルフ・ザルツマン(1744~1811)によって書かれた『蟹の小本』の、とびら絵に添えられているイソップ物語の一節です。イソップは、紀元前6世紀頃ギリシャに実存した人物(ヘロドトス『歴史』)だそうですが、時を経て、ザルツマンが自身の本の扉に自らこの絵を描き、ラテン語で「おとうさん、おとうさんが、まっすぐに歩いてみせてくだされば、ぼくたちもそうします。」と記したことは、いつの時代も子育ての基本は、親が手本を示している、という事実にほかなりません。

そして、この本の副題は「子どもを悪くする手引き」ですから、これをマニュアルにして教育すれば、ドンドン悪い子が出来ることになります。「悪い手本を示す親が子どもに不徳を教えるすぐれた教師であることは、疑いもありません。」(本書P9より引用) しかし、昨今の家庭や学校や職場に溢れているさまざまな問題状況を考えるとき、副題を逆説的に捉えるというより、むしろそのままマニュアルとして使ってきたのではないかと思える程、すぐれた教師がはびこっているように感じます。

ザルツマンは、ドイツのシュネッペンタールにある有名な学校の創始者であり、当時あの有名なペスタロッチと並んでヨーロッパの教育界に大きな影響を残した人です。ザルツマンがエルフルトという町に住んでいる時代に、多くの家庭における子どもたちの哀れなありさまを知り、その子どもたちにかわって世の親たちや教師に訴える「愛と嘆願の書」としてこの本を書いたそうです。初版の表題は『まことに不合理な最近流行の児童教育法への手引き』で、発行以来たちまちベストセラーになり、出版法規の確立していない当時のこと、欧州全土に偽版が続出しそれが今でも出版史上の語り草とされている、ということからも反響のすごさが窺えます。

日本には、明治37年獨協中学の創始者である大村仁太郎氏が、『我子の悪徳』という名で紹介したのが最初だそうです。そして昭和30年に『かにの本』として当時慶応大学の文学部教授村井実先生が出版されました。その後暫く絶版になっていたこの本は、再び多くの教育関係者の要望に応える形で昭和46年復刊されています。私は、玉川大学で学んでいるとき、山口先生(現在は教授かと思いますが)というまだ若い講師にこの本の存在を聞きました。授業は「教育学演習」か「教育哲学」だったかうろ覚えなのですが、大変印象に残っています。熱気溢れる20代の山口先生は、村井先生の直弟子とおっしゃっていましたが、何か村井先生の教育精神が乗り移っている感じさえ受けました。

さて、大げさに言えばイソップから脈々と繋がっているこの教育精神を、今後も大切にして大人の教育の仕事をしていきたいと思っています。

「素直さ風」と「研修ごっこ」

本当の素直さというのは心の純粋さがあることです。教育現場では、「わからない」ことをきちんと質問することですし、「おかしい」と思ったらそのことを発言することですし、「納得できない」ことはその旨きちんと言うことです。

そしてこの素直さは、参加者だけでなく講師にこそ必要なことだと思っています。参加者とのもめ事や評価のリスクを恐れて「素直さ風」に誤魔化しながらカリキュラムをすすめると、つまりは「研修ごっこ」となります。

「~ごっこ」とは、所詮遊びです。成長段階の子どもたちならともかく、成人の私たちの「研修ごっこ」は、終わってみるとそこにはインパクトのない・学びも少ない現実が待っていることになります。

難しく厳しいことですが、講師として、今、ここで起きていることから逃げずに参加者との葛藤を受け止め、素直な自分で研修を担当したいと思っています。 「研修ごっこ」をしてしまった時の、あの空しさを残さないために!

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